電子取引の経過措置についての詳細≪令和3年12月27日省令改正の続報≫
■やはり、通達改正と「一問一答」の改正版が出ていました。28日の日経新聞の記事を見逃していました。
■国税庁のサイトにすでに「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」と「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の改訂版がアップされていました。
◇「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」(以下、「通達解説」と略します)では、その改正箇所について、以下の項で説明しています。
◆「7-10 宥恕措置における「やむを得ない事情」の意義」
◆「7-11 宥恕措置適用時の取扱い」
「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(以下、「一問一答」と略します)では、以下の項で説明しています。
◆「問41-2 当面、電取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが、どのような対応をすればいいでしょうか。」
◆「問41-3 電子データを授受した場合であっても、令和5年12月31日までの間は、やむを得ない事情があれば、出力することにより作成した書面による保存が認められるのでしょうか。」
◆「問41-4 やむを得ない事情が認められ、かつ、整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面の提示又は提出の求めに応じることができれば、電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが、「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面」とはどのようなものでしょうか。また、「保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面・・・の提示又は提出の要求に応じることが出来るようにしている」とありますが、具体的にはどのような対応が求められるのでしょうか。」
◆「問41-5 やむを得ない事情が認められ、かつ、出力することにより作成した書面の提示又は提出に応じることができれば、電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが、事前に税務署への申請等をすることは必要でしょうか。」
◆「問42 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に出力して保存していますが、これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また、その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。」
◇内容について、それぞれで繰り返し説明しているため、詳細は、それぞれを読んでいただくこととして、ここでは、ポイントを次のようにまとめてみました。
- 「やむを得ない事情」とは、「その電磁的記録の保存に係るシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない」など、「準備を整えることが困難な事情がある場合」などが含まれること(通達解説7-10)
- 「令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データを書面に出力して保存し、税務調査等の際に提示又は提出が出来るようにして」おけばよいこと(一問一答41-2、41-3)
- また、「税務調査等の際に、その電子データの出力書面等(整然とした形式及び明瞭な状態・・・)の提示又は提出の求めに応じることが出来るようにしている場合には、その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能」であること(一問一答41-3)
- このために「税務署への事前申請等の手続きは必要」ないこと(一問一答41-3、41-5)
- しかし、書面は「規則性を有する形式で出力され、かつ、出力された文字を容易に識別することが出来る状態」であること(一問一答41-4)
- 令和5年12月31日までは、上記によれば、青色申告の取り消しにはならないこと(一問一答42)
◇要するに、中小企業等、システムの導入が遅れている場合、令和5年12月31日までは、通常の判読可能な書面での保存、または税務調査等の際に、求めに応じて出力した書面等を提出出来ればよい、ということのようです。