東京都 台東区の税理士 清水和男税理士事務所

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新旧医療費控除の有利不利

 確定申告の時期となりました。もう既に還付申告を済ました方もいることと思いますが、今回の申告(平成29年分)から、医療費控除のやり方が変わりました。詳しくは、国税庁の「重要なお知らせ[医療費控除が変わります]」をご覧ください。まず、いままで医療費の領収書の提示又は添付が必要とされていましたが、これが不要となりました。これにかわり、①「医療費控除の明細書」の提出が必要となりました。この場合、医療費の領収書は自宅で5年間の保存が義務付けられています。従来も、電子申告による場合、「医療費控除の明細書」の入力のみで、領収書は自宅で5年間保存することとなっていました。

 また、②医療保険者(健康保険組合や自治体)から送られてくる「医療費のお知らせ」などの医療費通知を添付する場合には、「医療費控除の明細書」の記載に代えて、医療費通知の合計額を記載することが出来ます。しかし、「医療費のお知らせ」は、計算処理が通常1か月以上遅れているため、記載内容は実際の受診とずれがあります。医療費控除の対象は、その年中に支払った金額ですから、「医療費のお知らせ」にまだ記載のない医療費は、①と同じく、領収書から「医療費控除の明細書」に記載する必要があります。

 もう一つ、③従来の医療費控除との選択で、セルフメディケーション税制が出来ました。

セルフメディケーション税制とは

 健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組を行った場合、12,000円以上の対象医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入した場合には、通常の医療費控除と選択で、「セルフメディケーション税制」を受けることができます。こちらは、「足切額」が12,000円と通常の医療費控除額よりずっと低い額ですが、上限も88,000円と通常の医療費控除限度の2,000,000円より、ずっと少額となってます。

 「セルフメディケーション税制」適用の条件・特徴は次のようになっています。

  • セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、本人が、健康の保持増進及び疾病の予防への取組として、医療保険者の行う健康診査、地区町村の健康診査、予防接種、いわゆるメタボ検診などの「一定の取組」を行っていること
  • セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。
  • セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。

旧医療費控除、新医療費控除 どっちが有利

どっちが有利 従来の医療費控除とセルフメディケーション税制とのどちらが有利か、要件が異なるため、単純には判定できません。

 まず、①医療費の対象が、後者の医薬品は、前者の医療費の対象にもなること。

 次に、②足切額が従来の医療費控除では、(イ)10万円と、(ロ)総所得金額等の5%のいずれか小さい額となるのに対し、後者の場合、1万2千円で、一定であること。

 そして、③上限額が、従来の医療費控除が200万円に対し、後者は8万8千円であること。

 そもそも、④前者の医療費は、「医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるもの」と、後者のスイッチOTC医薬品より範囲が広いこと。

 セルフメディケーション税制の趣旨が、予防的意味に力点があることから当然であるが、高齢者等すでに医療機関にかかっている場合には、従来の医療費を選択することになると思われます。